これはいろいろな本に載っている基本的な和文英訳の問題です。今回は、代表的解答例 Human beings are different from animals in that they can use language. をいろいろ探究してみましょう。

まずHuman beingsですが、これをHuman being isとできるでしょうか。
結論から書きますと、できません。その理由は文法と意味の両面にあります。

まず文法的に、human beingは可算名詞なので、「人間という一種の存在」を指すときは冠詞が必要です。したがって、
✖ Human being is different from animals…
〇 A human being is different from animals…
となります。ただし、a human beingは「人間一人」を指す具体的な表現なので、一般論を述べたいときには単数形では不自然になります。そのため、英語では通常、複数形Human beings are …を使って「人間という種」を表現します。つまり文法的にも意味的にも、一般命題を言うなら、
Human beings are different from animals in that they can use language. が自然です。

では、human beingsをHumansにしても同じでしょうか。
基本的には同じ意味で使えますが、語感と文体の違いがあります。
Human beingsはやや形式的・哲学的で、「人間という存在」や「人類」という概念的な響きを持ちます。学術的、倫理的、哲学的な文脈ではこちらが好まれます。
Humansはより口語的・科学的で、生物学的区別(人間 vs 動物)を述べる文では自然です。例えば進化論や認知科学の文脈ならこちらが一般的です。

Human beingsをHumanbeingsと綴ることはできません。human beingsは常に2語で書く必要があります。humanは形容詞で「人間の」、 beingは名詞で「存在・生き物」という意味です。したがって human being は直訳すると「人間という存在」であり、複合語ではなく形容詞+名詞の構造です。
つまり、正しい形は以下のようになります。
〇 a human being / human beings
✖ a humanbeing / humanbeings

次に、be different fromをdiffer fromに置き換えることはできるでしょうか。
構文上は可能です。動詞構文にするなら、Human beings differ from animals in that they can use language. となります。これは自然で正しい言い換えです。

ところで、differentですが、地域差による使い分けもあります。イギリス英語では、different toがよく使われます。たとえば、This color is different to that one. と言っても自然です。特に話し言葉では different toがかなり一般的です。
アメリカ英語では、different from が標準的で最も安全な形です。This color is different from that one.

different thanは、主にアメリカ英語で見られ、文の後に節が続く場合によく使われます。
Things turned out differently than we expected.
このように、thanの後に節が来るときは fromより自然です。

thanは比較構文で接続詞(conjunction)として働くため、後ろS+Vが続くことができるのです。
例:She is taller than I am.
Things turned out differently than we expected.
一方、different fromや different toは前置詞を伴う構文なので、後ろには名詞句しか置けません。

animalsの部分ですが、文脈上すでに「人間」と「動物」を対比しているため、animalsだけで十分に明白です。other animalsとすると、「人間も動物の一種だが、他の動物とは違う」という生物学的観点を強調した言い方になります。したがって、
哲学的・一般的対比 → Human beings differ from animals…
生物学的・進化的文脈 → Humans differ from other animals…
となります。つまり、どちらが「正しい」ではなく、人間を“動物の一種”として含めるかどうかの立場の違いです。この文の意図が「人間は他の動物と異なる」という生物学的説明でないなら、animalsのままで十分です。

in thatをin terms of being able to useに置き換えることはできるでしょうか。
この置き換えも文法的には成立しますが、意味の焦点がやや変わります。
Human beings differ from animals in terms of being able to use language.
この文は「言語を使えるという点で違う」と“観点”を示す表現で、説明的なin thatより形式的・客観的な印象になります。

Human beingsをtheyでなくweで受ける人がいますが、誤りでしょうか。
結論から言うと、weで受けるのは文脈次第で誤りではありませんが、一般論を述べる英文としては不適切になることが多いです。文の主語が Human beingsの場合、原則としてそれは一般的な「人類」全体を指しており、客観的な命題(人間は言語を使える存在である)を述べています。このときに weを使うと、視点が客観から主観(話し手を含む人間側)に移るため、学術的・説明的文脈では不自然です。
たとえば:
〇 Human beings differ from animals in that they can use language.(科学的・一般的記述)
△ Human beings differ from animals in that we can use language.(話し手が「人間の一員」として語る主観的表現。会話や随筆なら可だが、論文調では避けるべき)

この文の場合はuseの代わりにspeakも文法的には成り立ちます。ただし、意味の焦点が異なります。
use languageは言語を「用いる能力」全般を指し、思考・理解・創造・記号操作などを含む広い意味です。したがって、人間の認知的特性を述べるときに最も適切です。
Human beings differ from animals in that they can use language.
「人間は言語を使う能力を持つ」という一般的な命題が表現されています。
speak languageは発話(音声による言語表現)に焦点を当てます。動物との違いを発声やコミュニケーション手段に限定して言うなら自然です。
Human beings differ from animals in that they can speak language.
この文は不自然ではないですが、普通はspeak a languageまたはspeak languagesの形にします。
したがって、この文脈では「言語使用能力」を述べているので、use languageの方が意味が広く、より適切です。

今の項目と関連しますが、この問題では「言語という能力・体系」を指す抽象概念なので、単数形 languageが適切です。languagesにすると「個々の言語(英語・日本語など)」を指してしまいます。

投稿者 shobota

都立高校で40年以上英語を教えている教員です。哲学や倫理に関心があります。

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