NHK出版『哲学史』のシリーズは、kindleでセールになった時に買って全部持っているが、忙しくてまだ目を通していない。今回いきなりⅣから入門してみることにする。なぜかというと、Ⅳは「倫理学」を扱っているからだ。

この手の入門書は、これから哲学なり倫理を学ぶための道しるべとしての役割としては大変重要である。しかしながら、「それ自体が哲学でない」ことも紛れもない事実である。この入門書を読んで、何か哲学について語ってしまったりしてはだめなのである。「自転車乗り方マニュアル」を読んだからといって自転車に乗れるようになるわけではない。

このシリーズは、各分野の専門家にインタビューをするという形式で作られている。これが何か普通にはない生き生きとした効果を生み出しているかどうかは、実際に読んでみないとわからない。

【序章 倫理学に入門するとは何をすることなのか】

序章の回答者は、現在NHK『100分de名著』に出演中の古田徹也先生である。細かい話は省くが、教わってみたい先生の一人である。語られていることはすべて正論で、当たり前すぎるほど重要なことばかりである。箇条書きでいくつか書き出してみると、

・倫理学はとても曖昧な分野である。
・それゆえ、それは自分の正統性さえ揺るがす学問になりうる。
・倫理学は、当たり前の日常を「記述し、捉え直そうとすること」である。
・さらには、そのような「解釈と批判を続けること」である。
・以上のことを実践するために、古典の、精読は必須である。

どれももっともであるが、これらは倫理学に限らず、radicalな学問すべてに当てはまるのではなかろうか。

ところで、古田先生はウィトゲンシュタインの人だと思われているが、実はバーナード・ウィリアムズの研究も相当深くされている。一昨年アイルランドに行ったとき、バスで隣り合わせたおじさんとバーナード・ウィリアムズについて語り合ってしまったこともあり、古田先生の研究が公にされることが楽しみである。

投稿者 shobota

都立高校で40年以上英語を教えている教員です。哲学や倫理に関心があります。

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