「get A toは「頼んで~してもらう」と「強制的に~させる」のどちらか?」

get A to do という表現は、使役動詞 have や make と比較するとその性質がはっきりします。辞書に載っている「頼んで」と「強制的に」という一見矛盾する訳語は、どちらも 「働きかけによって、ある状態を実現させる」 という get の根本的なイメージから派生したものです。

get は本来「苦労して手に入れる」「なんとか〜の状態にする」という意味を持ちます。そのため、get A to do は 「何らかの働きかけ(説得、依頼、議論、あるいは物理的な努力)を経て、Aに〜させる」 というプロセスに焦点が当たります。

「頼んで〜してもらう」の場合
相手が自発的に動いていなかった状態から、こちらの言葉や熱意で「その気にさせて」動いてもらうニュアンスです。
I got him to help me with my luggage.(彼を説得して、荷物を運ぶのを手伝ってもらった)

「強制的に〜させる」の場合
相手が嫌がっている、あるいは抵抗がある状況で、何らかの圧力や執拗な説得によって「無理やり動かした」という結果に焦点が当たります。
I finally got the kids to go to bed.(ようやく子供たちを寝かしつけた [なかなか寝なかったのを何とかした])

他の使役動詞と比較してみましょう。

make A do: 強制・義務。本人の意志に関係なく「させる」。 原形不定詞 (do)
have A d: o 当然の依頼・義務。立場上、やって当然のことを「してもらう」。 原形不定詞 (do)
get A to do 説得: ・努力。働きかけて、なんとかして「〜させる/してもらう」。 to不定詞 (to do)

have や make は原形不定詞(動詞の原形)をとりますが、get は to を必要とします。原形不定詞(have/make)が働きかけと動作が「同時」に起こる、直結したイメージであるのに対し、to 不定詞(get)のto は「方向・到達」を示します。つまり、働きかけた結果、動作という目標に 「到達させる」 という時間的な距離感(プロセス)があるため to が使われます。

「頼む」のか「強制する」のかは文脈次第ですが、共通しているのは 「何もしなければ動かなかった対象に、エネルギーを使って動いてもらった」 という点です。日本語訳に振り回されず、「相手を動かすためのプロセス(説得や努力)があったかどうか」で判断すると、非常に使い勝手の良い表現になります。

投稿者 shobota

都立高校で40年以上英語を教えている教員です。哲学や倫理に関心があります。

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