「You can save time going shopping. の文法はどうなっているのか?」

「買い物に行く時間を節約できる」を英語では、You can save time going shopping.と言いますが、このgoingは現在分詞でしょうか、動名詞でしょうか?今回はこの文法構造を考えてみたいと思います。

実はこの going は、学校文法の枠内でも学説上でも複数の分析が併存してきた箇所です。

伝統的な分析:in が省略された動名詞

save / spend / waste / lose + time (+ in) + doing という型は、歴史的には前置詞 in を伴う構文でした。つまり You can save time in going shopping.(買い物に行くことにおいて時間を節約できる)で、going は前置詞 in の目的語である動名詞、というのが古典的な説明です。be busy (in) doing、have difficulty (in) doing、There is no use (in) doing などと同系列で、19〜20世紀にかけて in が脱落していった経緯はイェスペルセンらも記述しています。現代英語では in を入れるとむしろ古風・堅い響きになります。この分析では、going shopping は「買い物に行くこと」という名詞相当の句であり、「その事柄に関して時間が節約される」という意味関係になります。和訳「買い物に行く時間を節約できる」は、まさにこの読み(節約されるのは going shopping に費やされるはずの時間)に対応しています。

現代的な分析:現在分詞

一方、現代の記述文法や多くの学習英和辞典(ジーニアス、ウィズダムなど)は、in が完全に脱落して久しい現状を踏まえ、この doing を現在分詞として扱う立場を取ることが多いです。この場合 going shopping は、動詞句 save time に対して「どの場面・どの活動に関して」を限定する副詞的修飾要素(準分詞構文)と見なされます。spend the afternoon reading の reading と同じ扱いです。

さらに言えば、Huddleston & Pullum の The Cambridge Grammar of the English Language(2002)は、そもそも英語の -ing 形について動名詞と現在分詞を形態的にも統語的にも区別する根拠が乏しいとして、両者を gerund-participle という単一のカテゴリーに統合しています。この立場からは「動名詞か分詞か」という問い自体が伝統文法の枠組み内での区分ということになります。

話は変わりますが、どちらの分析を取っても、going の意味上の主語は主節の主語 You と同一です。

分詞と見る場合、これは分詞構文の基本規則そのものです。分詞の意味上の主語は原則として主節の主語と一致し、一致しない場合は独立分詞構文として主語を明示しなければなりません(Weather permitting, … のように)。ここでは「買い物に行く」のは「時間を節約する」当人ですから、主語の同一性が保たれています。

動名詞と見る場合も同じ結論になります。動名詞の意味上の主語は、明示されなければ文脈上の主語(多くは主節主語)に解釈されます(いわゆるコントロール)。もし主語が異なるなら You can save time by his going shopping for you のように所有格・目的格で明示する必要がありますが、本文にはそれがないので You が主語だと解釈されるわけです。

つまり「You = going の意味上の主語」は、この文型に固有の規則というより、-ing 句一般に働く「主語が明示されないときは主節主語に一致させて解釈する」という原則の帰結です。

なお、You can save time to go shopping.としてしまうと、「買い物に行くために時間を節約する」という意味になってしまいます。この対比は to 不定詞と -ing 形の意味的な性格の違いがきれいに現れる好例です。

to 不定詞は歴史的に前置詞 to(方向・目標)に由来するため、未来指向・目的指向の意味を帯びやすい。You can save time to go shopping. と言えば、to go shopping は目的の副詞用法と解釈され、「買い物に行くために(買い物に行けるように)時間を節約しておく」――つまり節約された時間が買い物に充てられるという関係になります。remember to do と remember doing の対比(これから行う行為 vs すでに行った行為)と同根の現象で、to 不定詞は「これから向かう先」、-ing は「すでに成立している・進行中の活動そのもの」を表す傾向がある、という一般化がここでも効いています。

一方 You can save time going shopping. では、going shopping は節約が生じる場面・活動を指し、節約されるのは買い物に費やされる時間の側です。矢印の向きが正反対になるわけです。

save time going shopping → 買い物(という活動)から時間が浮く
save time to go shopping → 買い物のために時間を確保する
ちなみに後者の意味をより明示的に言うなら You can save time for shopping. や save time so (that) you can go shopping. という言い方もあります。逆に前者を明示化すれば、save time in going shopping(やや古風)や、手段を強調するなら save time by doing something else instead のような形になります。

投稿者 shobota

都立高校で40年以上英語を教えている教員です。哲学や倫理に関心があります。

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