2024年一橋・大問1の5回にわたる解説にお付き合いいただきありがとうございました。
今日お話しすることはとても基礎的なことですので、英語が得意な方は読みとばしてください。
今回の一橋の問題の第1パラグラフの中で、
The idea that one would have to choose between mathematics and literature is, I think, something of a tragedy……..という文があります。(…..の後はとりあえず無視してください。)
ちなみに、この文は「大学に入ってから、理系を選ぶか文系を選ぶか」という話題です。
ここで、かなり英語ができる人でも、The idea thatのthatが関係代名詞だと思ってしまう人がいることに私は衝撃を受けました。
thatが関係代名詞であるということは、その後ろに他動詞の目的語または前置詞の目的語が欠落している〈不完全文〉が続くということです。つまりこの文で言いますと、chooseが他動詞で、その目的語が欠落している文ということになります。そうしますと欠落している部分が先行詞になりますから、「数学と文学の間で選ばなければならない考えは、ちょっとした悲劇に思われた。」という意味になります。
訳してしまうとなんとなく通じるような気がしますが、これをふつうの文の形に直すと、
One would have to choose the idea between mathematics and literature. となります。
the ideaが何の考えかわかりませんよね。
もう一つ、between以下は前置詞句で働きは「副詞」です。つまりchooseを他動詞と考え、between以下をその目的語としても読むことはできません。
そろそろおわかりになりましたね。chooseはここでは自動詞なのです。そうしますと、thatの後ろに欠落しているものは何もありませんから、thatの後ろは〈完全文〉です。ですからthatは関係代名詞とは読めず、〈同格〉の接続詞と解釈するしかありません。
全体の訳は以下のようになります。
「(人が)数学と文学の間で選択をしなければならないという考えは、ちょっとした悲劇である。」
このthatを同格だと正解した人でも、「~という考え」と訳せるからだと同格だと考えた人は、まだ理解が半分です。この話は長くなりますので、また機会を改めてお話いたしましょう。