今回ご紹介するのは、クリント・イーストウッド監督『Juror #2(陪審員2番)』です。
この映画は映画館で公開されておらず、U-NEXTの配信でのみ視聴することができます。
(私も1ヵ月間無料お試しを利用して視聴しました。)

さてイーストウッドですが、映画ファンの間では、まず西部劇のヒーローとして、そしてここ何十年かは映画監督として、有名すぎるくらい有名です。本作品撮影時(2024年)なんと94歳だったそうです。(100歳を超えて監督したオリヴェイラのような化け物もいますが。)

【あらすじ】
(これからご覧になる方は、ここは飛ばしてお読みください。)映画.comから引用させていただきます。

「ある殺人事件に関する裁判で陪審員をすることになった主人公が、思いがけないかたちで事件とのかかわりが明らかになり、煩悶する姿を描いた法廷ミステリー。
ジャスティン・ケンプは雨の夜に車を運転中、何かをひいてしまうが、車から出て確認しても周囲には何もなかった。その後、ジャスティンは、恋人を殺害した容疑で殺人罪に問われた男の裁判で陪審員を務めることになる。しかし、やがて思いがけないかたちで彼自身が事件の当事者となり、被告を有罪にするか釈放するか、深刻なジレンマに陥ることになる。」

映画の冒頭で映し出されるのは、正義の女神であるテーミスです。この像の目隠しは、見かけにとらわれず真実を公平無私に見抜くことを意味します。また、左手の天秤は、善悪の判断を厳格に行うことを、右手の剣は、正義を断固として妥協することなく実行することを意味します。

次に、目隠しをされた主人公の妻のシーンに切り替わります。この目隠しは、最初の目隠しとは逆に、真実が覆い隠されていることのメタファーです。このあとは【あらすじ】にあるような展開で話は進んでいきます。

この映画のテーマを一言で言うと、「真実と正義」です。陪審員制度は、日本ではなじみがないかもしれませんが、あらゆる言説がフェイクにまみれて、正義がもはや機能しなくなるかもしれないような今の世の中において、この映画のテーマは非常にアクチュアルであると言えるでしょう。

イーストウッドの映画のどこが素晴らしいのか、については様々な意見があると思いますが、私が強調したいのは「無駄のない演出」です。本作は2時間弱の作品ですが、冗長なところ、感情過多のところがなく、ある意味淡々と、しかし緊張感を切らさずに物語は進んでいきます。

もし気に入っていただけたならば、この20年くらいの彼の作品、たとえば『グラン・トリノ』『チェンジリング』『ヒアアフター』『15時17分、パリ行き』『ミスティック・リバー』なども是非ご鑑賞いただきたいです!

投稿者 shobota

都立高校で40年以上英語を教えている教員です。哲学や倫理に関心があります。

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