ブレッソンの『白夜』をレビューします。これは今から50年以上前(1971年)の幻の映画なのですが、このたび4Kレストア版として公開されました(原作はドストエフスキー、公開は渋谷「ユーロスペース」他)。

ロベール・ブレッソンは、フランスの映画監督で、20世紀の巨匠の一人です。彼の作品はミニマリズムと精神性に特徴づけられ、しばしば「純粋な映画」を追求したと評されます。ブレッソンは、俳優の演技を抑制的かつ自然に保つため、素人を起用することが多く、また、過剰な劇的効果や音楽を避け、日常の音やシンプルな映像に焦点を当てることで、観客に深い内省を促すスタイルを確立しました。

* わかりやすく言いますと、ブレッソンは観客に媚びないので、「普通」の人には、地味でつまらなく思えると思います。この映画も派手な効果音やアクションなどなく、ほとんどの画面が夜の場面で暗く、ストーリーは単純で、主人公の性格は暗いです。(彼の映画が「静謐で」というと、誉め言葉になりますが。)
しかし、それでもブレッソンは「神」なのです(解説になっていない)。

【あらすじ】(「映画.com」より。ネタバレ注意。)
孤独な画家の青年ジャックは、理想の女性との出会いを妄想しては、その思いをテープレコーダーに吹き込んでいる。ある夜、ジャックはセーヌ河にかかる橋、ポン・ヌフで思いつめた表情の美しい女性マルトと出会う。マルトは恋した相手が1年前にアメリカ留学に発ち、「結婚できる身分になったら1年後に会おう」と言われていたが、1年が経ったその夜に相手は現れなかったのだという。マルトに熱い気持ちを抱いたジャックは、彼女が約束の相手に会えるように尽くすが、相手は現れない。そしてやがて、マルトの心もジャックに惹かれ始める。。。

。。。の後は観てのお楽しみ、ということで、書きません。この映画は、すごく世俗的に言えば、女性は自分に優しくしてくれる男性になびきそうになっても、元から好きだった男性とうまくいきそうになると・・・という映画です。要するに、恋愛なんて努力してもだめなものはだめなのです。女性は恋愛にはドライです。。。

いやいや、この映画ではそんなことはどうでも良いのです。この映画は、人物の表情や、手の動きや、ほんのわずかな音などに全神経を集中させて観る映画なのです。
また映画に詳しい人ならば、シーンのカット割りにも、衝撃を受けるでしょう。
一つだけ鑑賞のヒントを書いておきましょう。登場人物の「手」に注目してください。

投稿者 shobota

都立高校で40年以上英語を教えている教員です。哲学や倫理に関心があります。

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