大谷翔平選手がパパになり、インスタグラムに英文で以下のように投稿しました。
WeLcome to the Ohtani Family!
I am so grateful to my loving wife who gave birth to our healthy beautiful daughter.
To my daughter, thank you for making us very nervous yet super anxious parents.
I would also like to thank the Dodgers organization,my teammates, and the fans for their constant support and kind words of encouragement.
I would also like to express my sincere gratitude to all the medical professionals and everyone who dedicated their support to us,up until this wonderful day.
これに対して、『基本文法から学ぶ英語リーディング教本』(通称『黄リー教』)の著者である高名な薬袋善郎先生がXに投稿されました。その一部を引用させていただきます。
「私はこれをTHE ANSWERの記事で見たのですが、その記事は、Welcome to the Ohtani Family! I am so grateful to my loving wife who gave birth to our healthy beautiful daughter.を次のように和訳していました。
「オオタニ家へようこそ!健康で美しい娘を産んでくれた愛する妻にとても感謝しています。」
この和訳は大事な個所を誤訳しています。my loving wifeとmy beloved wifeは表している事柄がまったく違います(当然、和訳も違います)。
これを引用して私は以下のようにXに投稿しました。
「これは『ウィズダム英和』のlovingの項目でもわざわざ書いてありますね、重要!」
そうしましたら、恐れ多くも薬袋先生から以下のリプライがありました。
「ウィズダム英和辞典を見てみましたが、「my loving husband 私の優しい夫(!「私の愛する夫」の意味ではないことに注意)」と書いてありますね。私が思うには、
・なぜlovingが「優しい」という意味になって「愛する」ではないのか?
・どうしてloveを使っているのに「優しい」なのか?
・「優しい」というのはlovingの文字通りの意味なのか?
こういったことを解決する「(lovingに限らない)一般的な(目に見えない)規則」がlovingの背後にはあるわけで、その規則をつかむことが大事だと思うのです。
そういうことは残念ながら辞書には書いてないのです。ですから、いつも言っていることですが、『黄リー教』は辞書や文法書を使いこなす「前提」を教えているのです。」
これを受けて私は以下のようにリプライしました。
「薬袋先生から「本質的な」リプライをいただきました。まさにその通りです!私は英語教師ですがもう一度『黄リー教』で勉強しようと思います。」
そしてさらに以下の投稿を続けていたしました。
「『黄リー教』お恥ずかしいことに通読していないのですが、該当箇所に目を通してみました。lovingはwifeを修飾しているので現在分詞でしかありえない。wifeがlovingの目的語になりえないのは先生の書かれている通り(下の(注)参照)。」
「完全他動詞の現在分詞で目的語を伴わない場合、「~を愛するような性質を持っている」で~に当たるのが何なのかですが、ここでは…daughterで良いのでしょうか?すると「・・・娘を愛する性質を持った」→「やさしい」となりますが。」
* こちらは無料利用者、薬袋先生は優待会員?で投稿できる語数が違いすぎますが(笑)、またまた先生からリプライいただきました。
「そうとってもいいし、もっと広く真美子さんを「人を愛する性質をもった妻→愛情あふれる妻、優しい妻」と言ったのかもしれません。」
しつこくまたポストしました。
「『現代英文法講義』において(i) a proposal offending many membersの後に(ii) the offending proposalが使われる例が紹介されています。要するに、本来あるべき他動詞の目的語が類推できる場合に、この分詞の使い方は可能になるのですね。」
またまた先生から返信をいただきました。
「「③(=完全他動詞)の現在分詞が、構造上の目的語を伴わずに、形容詞用法になる(意味は「意味上の目的語を③するような性質をもっている」です)のは、どんな③の動詞でも可能なわけではありません。限られた③の動詞です。
これの線引き(可能な③の動詞か、不可能な③の動詞か)は、私は英語学者ではないので、分かりません。ただ「意味上の目的語が推測できる場合は可能である」とするのは、広すぎるのではないかと思います。」
(注)(Xで先生が別の質問者に返答された文章です。)
「「wifeがOでない、というのがわからない」←to my loving wifeでwifeをlovingの目的語(=動詞の目的語)にすると、可算名詞のwifeが単数・無冠詞(より正確に言えば単数・無限定詞)になります。可算名詞は、特別な状況でなければ、単数・無限定詞では使いません。
以上の理屈は、native speakerや「日本人でもある程度英語に慣れた人」は感覚的にわかっています。ですからto my loving wifeを見たとき、wifeをlovingの目的語とは直感的に思わないのです。
それに、百歩譲って、単数・無限定詞のwifeをlovingの目的語にすると(こういうことは実際にはできませんが)、前置詞toの目的語をlovingにしなければなりません。つまりlovingは動名詞で、toの目的語ということになるわけです。
動名詞に「意味上の主語」をつけるときは、「意味上の主語」になる名詞・代名詞を、所有格または目的格にして動名詞の直前に置きます。したがってmyは動名詞lovingの「意味上の主語」になります。するとmy loving wifeは「私が妻を愛すること」という意味になります。
するとI am so grateful to my loving wifeは「私は、私が妻を愛することにとても感謝している」という意味になります。これで意味が通ると思いますか?
また別の方が、
「原文は日本語でしょうから、和訳じゃなくて、英訳の方が間違ってるのでは?そうするとネイディブの誤訳ですかね。」
と投稿されました。それに対する先生のリプライは、
「そのへんは大谷選手に聞いてみなければわかりませんね。」でした。