5月からU-NEXTに加入したので、仕事や勉強の合間に内外の旧作を鑑賞して、レヴューを書いていこうと思います。
今回取り上げるのは李相日監督の『悪人』(2010)です。「キネマ旬報」日本映画年間1位ということで、期待して鑑賞したのですが、結論を言ってしまうと、この作品は評価されすぎ、どちらかというとダメな映画だと思います。10点満点だと2点か3点くらいです。(あくまでも個人的な見解です。)
でも、せっかくですから、この作品の良いところと、あまり感心しなかった点を書いてみようと思います。
良い点:
前半30分くらいはまずまずの緊張感がありましたし、九州の海や寂れた街の雰囲気が、なんとなく懐かしさを感じさせてくれました。2010年くらいまでは、「鬱屈した地方」が映画の背景として機能していたのだなあと思いました。そしてこの時代はガラゲーとスマホが混在していたのですね。深津絵里がケーキを貪っているシーンは良かったです。(大して、良い点がないな、笑。)
感心しなかった点(以下「ネタバレ」注意):
どの人物の行為にも必然性が感じられなかったです。
深津絵里演じる光代は、出会い系サイトである男と知り合って、その日にホテルに行きますが、その男は実は殺人犯でした。まあ、そもそもいくら深津さんが美人だとしても、こういう女性に感情移入はできません。一方殺人犯ですが、妻夫木聡がお好きな方は、もうそれだけで許せるのでしょうが、私は彼にもこれっぽっちも同情できませんでした。
まあ常識的に言って、殺人は大変な「悪」のはずですが、この映画では刹那的な愛(何しろセックスしか描かれません)が「本気の愛」として美化されます。(だいたい私は「本気の愛」などという言葉を聞くと、さーっと冷めてしまうような人間です。「本気」とお互いに言えば、「本当の愛」になるのでしょうか?)
さらに灯台の朝日だの、ロマンチックな音楽(ブラームスもどき!)だのが、その「本気の愛」を飾り立てる演出です。ラストの首を絞めるシーンも必然性がなくて、どっと白けてしまいます。
他の出演者たちも「熱演」でしたが、それぞれ有名な俳優ばかりで、ある決まりきったイメージを喚起させてしまい、それゆえに白々しさを感じさせてしまいます。うまく言えないですが、演技が紋切型と言いますか、悪い意味での典型的な日本映画だと思います。
しかし、今述べたようなことはあくまでも私個人の感想ですので、皆様が鑑賞される際には私の感想など無視して楽しんでいただけたら、と思います。