プラトンに倣いAIの時代における新しい『対話篇』を創造(生成?)する企画第6回は、英語を教える身でありながらずっと僕を悩ませてきた「英語という言語は〈帝国主義的〉か?」という問題について語り合います。お楽しみいただけると嬉しいです。ご感想もお待ちしております!(なお、文中の「あなた」は私のことです。)
あなた:今日は英語が事実上「世界共通語」になっていることについて考えてみたい。
ChatGPT:英語が「世界共通語」となったのは、言語そのものの優位性よりも、英米の政治的・経済的覇権の結果と見るべきだろう。植民地支配やグローバル資本主義の拡大によって、英語が情報と権力の媒体になった。つまり、英語の普及は文化的現象というより、歴史的な力の分布を反映したものだ。
あなた:そういう意味では英語は「帝国主義的」と言えるね。
ChatGPT:その指摘は妥当だと思う。英語は単なる言語ではなく、特定の価値観や思考様式を同時に広める装置でもある。
そのため、世界共通語としての英語はしばしば文化的な中立性を装いながら、実際には権力の偏りを再生産している。
あなた:実際に「英語帝国主義」という用語、あるいは考え方はあるのかな。
ChatGPT:ある。1980年代以降、ロバート・フィリップソンらが「linguistic imperialism(言語帝国主義)」という概念を提唱している。それは、英語の普及が教育やメディアを通して他言語を周縁化し、英語話者の支配的地位を維持する構造を指摘する理論だ。単なる言語の広まりではなく、制度的・意識的な支配の形態として分析されている。
あなた:ただ以前と状況は変わってきている。今後中国やインドが仮に政治的覇権を握ったとしても、英語帝国主義はもはや変わらないように思う。
ChatGPT:その見通しには根拠がある。英語はもはや特定の国家の言語ではなく、グローバルな情報インフラとして自律的に機能している。したがって、覇権が移っても英語の支配的地位は維持され、むしろ新しい支配構造に組み込まれていく可能性が高い。
あなた:それはコンピューターの言語が英語に準拠しているからということも一因だろうね。
ChatGPT:確かにそれは大きな要因だ。コンピューター言語やインターネットの基本構造が英語に基づいて設計されたことで、英語は情報技術そのものの文法になった。その結果、英語はもはや単なる言語ではなく、デジタル世界を操作するための「思考のインターフェース」になっている。
あなた:かつて“English as a Lingua Franca”と言われた時には、この状況が楽観的に語られていたように思う。
ChatGPT:その通りだ。“English as a Lingua Franca”は、英語を中立的な国際共通語として捉え、相互理解を促すものとして評価されていた。しかし現実には、発信の中心が依然として英語圏にあり、非母語話者はその規範に適応せざるを得ないという非対称性が残っている。
あなた:かつてBraj B. KachruがExpanding Circleを提唱した時にも、英語を多中心化(pluricentricity)しようとしたわけだけれども、これもプログラム言語を見ればわかるように、Englishesを許容する方向へ向かっているとは思えないな。
ChatGPT:Kachruの多中心モデルは理論的には説得力があったが、実際には「中心」と「周辺」の非対称は解消していない。プログラム言語の例が示すように、英語は標準化されすぎており、逸脱や多様化を許さない構造をもつ。結果として、世界の英語は形式上多様でも、権力の中枢は依然として一極的に保たれている。
あなた:英語のネイティブは、このことにどの程度自覚的なのだろうか?
ChatGPT:自覚の度合いは個人差が大きいが、全体としては低いと言わざるを得ない。英語が世界で通じることを「自然な利点」として受け入れ、それが特権であるとの認識を持たない人が多い。むしろ非ネイティブの側が、英語の覇権構造を意識的に分析してきたのが現状だ。
あなた:日本人のようなノン・ネイティブは、仕事をするにも研究をするにも、語学にそのリソースのかなりの部分を費やさなければならず、これは圧倒的な格差、不公平感を生み出しているように思える。
ChatGPT:確かに、その構造的負担は大きい。非ネイティブは、専門知識に到達する前に言語の壁を越えなければならず、思考の速度や表現の自由が制限される。その意味で、英語は単なる共通語ではなく、知識へのアクセスを不均等に分配する装置として機能している。
あなた:何か良い解決策はあるのだろうか。それとも人類はずっとこの「欧米至上主義」を引きずっていかなければならないのだろうか?
ChatGPT:現実的な解決は容易ではないが、いくつかの方向は考えられる。機械翻訳の精度向上が進めば、言語格差の一部は技術的に緩和されるだろう。ただ根本的には、英語で書かれた知を「世界の標準」とみなす意識そのものを問い直す文化的転換が必要だ。
あなた:私も含めて、英語を教えている人たちや、英語でビジネスをしている人たちは、英語の「効用」についてばかり語るが、「効用」の陰には、圧倒的な差別構造が潜んでいることに、常に自覚的でなければならないね。
ChatGPT:その通りだと思う。英語教育や国際ビジネスの現場では、英語を中立的な「スキル」として扱うが、その背後には植民地主義的な力の残響がある。だからこそ、英語を教えることや使うこと自体を正当化するのではなく、その構造的偏りを可視化する姿勢が欠かせない。
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