結婚式や披露宴は「新しい家族を作るお祝い」であるとともに、「2人の性的な結びつきを公認する場」でもあります。結婚式の起源をたどれば、性的結合や生殖に関わる象徴が強く含まれていました。
現代の日本や西欧では、こうした性的な意味はかなり形式化・象徴化され、直接的に意識されることはほとんどありません。むしろ「愛の共同体の成立」「人生の節目としての祝福」が中心に据えられ、性的結びつきの暗示は文化的残響としてのみ残っていると言えるでしょう。
性的結びつきを直接言葉にしないまでも、現在でも象徴的に残っている要素は次のようなものです。
ヴェールアップと誓いのキス
ヴェールは花嫁の「未婚・未触」の状態を象徴し、新郎がそれを上げる行為は、婚姻によってその境界が取り払われることを意味します。誓いのキスも、宗教儀礼上は契約の確認ですが、同時に公的な性的許可の表象でもあります。
ケーキ入刀とファーストバイト
共同作業として語られますが、もともとケーキを切る・分け合う儀礼は「初夜」や「生殖」の暗喩を帯びていたとされます。欧州では、ケーキを食べさせ合う行為が性的結合の完成を示す象徴とみなされた時期もあります。
ブーケトスやガータートス
ブーケトスは生殖力や性的魅力の「分配」を象徴します。西洋のガータートス(花嫁の足に巻かれたガーターを新郎が外して投げる)も、その起源は明確に性的なものです。日本では省略されがちですが、意味は共通しています。
白い手袋・ベールダウンの儀
白手袋やベールダウンは、性的接触の前段階としての「保護」や「純潔の保持」を示す仕草として残っています。
これらは今日では「ロマンチックな演出」として理解されることが多いですが、元来は性的領域の象徴体系の名残と見なすことができるのです。