今日は、Young people do not care much about what others think of them.「若者は世間からどう見られているかあまり気にとめない。」という文におけるwhatの節の働きについて考えてみましょう。

結論から述べますと、この文における what は、think [something] of A という構造の [something](目的語) が関係代名詞となったもの、と解釈するのが一般的です。 “what others think of them” は、この構造の something の位置に疑問詞/関係代名詞の what が入った形です。

think [something] of A (Aについて~という意見を持つ)
構造: think + 目的語(what/something) + of + 対象(A)
意味: 「Aについて(何らかの意見を)抱く」
例文: “What do you think of John?”(ジョンのことをどう思いますか)

“what others think of them” を平叙文に戻すと、その構造がより明確になります。
Others think [something] of them. (他人は彼らについて[何らかのこと]を考えている/思っている)

ここで think は「~を心に抱く」という他動詞として機能しており、of は「~に関して(aboutに近い)」という対象を表す前置詞です。したがって、この what は 「他人が彼らに対して抱いている評価や意見」 そのものを指しています。

この構造は、日常的に使われる以下の疑問文と同じ原理です。
What do you think of this movie? (この映画をどう思いますか?)
× How do you think of…? とは言わないのは、think の目的語を求めているからです。

ここで疑問が湧いてきませんか。think という動詞は I think it. のように一般的な名詞を直接目的語に取ることは稀です。基本的には think that… や think about… の形をとります。なぜthink A of B という構造においてのみ、Aの位置に特定の性質を持つ名詞や代名詞が来ることが許容されるのでしょうか。

実はこの「A」に入る語には非常に強い制約があり、主に「量」や「評価の程度」を表す語に限定されるのです。具体的には、what, something, muchなどです。

では、この文章におけるwhatが疑問代名詞にも読めてしまうことはありえるでしょうか。結論として、そう読めてしまう可能性があります。この文の「what」の二面性について整理します。

この節は、文法的に以下の二通りで説明が可能です。

疑問代名詞(間接疑問文)としての解釈
意味:他人が彼らをどう思っているか(という問い)について、若者は気にしない。
構造:care about の後に、[What do others think of them?] という疑問が埋め込まれた形。

関係代名詞(先行詞を含む関係詞)としての解釈
意味:他人が彼らに対して抱いていること(意見・評価)について、若者は気にしない。
構造:what = the thing(s) which。think の目的語としての「もの・こと」を指す。

言語学的には、こうしたケースを 「中和(neutralization)」 と呼ぶことがあります。どちらの解釈をとっても、文全体が表す事態(真理条件)がほとんど変わらないため、厳密に区別する必要がない場合が多いのです。特に care about や know, tell, wonder などの「知識・思考・関心」を表す動詞の後にくる what 節は、両方の解釈が重なり合いやすい傾向にあります。

もし、文法問題や厳密な解釈として区別を求められた場合、以下の観点が指標になります。

・「~すること(もの)」と言い換えて自然なら関係代名詞。
・「~か(どうか)」と言い換えて自然なら疑問代名詞。
・ask や wonder など、疑問の内容を伴う動詞であれば疑問代名詞が優先されます。
・eat や read のように具体的な「物」を対象とする動詞であれば関係代名詞(what = the thing which)しかあり得ません。
・今回の care about は「~を気にかける」という対象(物)も、「~だろうかという疑問」もどちらも受け入れられるため、両義的になります。

次に、how other people see themとの構造の違いについて考えてみましょう。

この二つの表現は、日本語に訳すとどちらも「他人が彼らをどう見ているか(思っているか)」と似た意味になりますが、文法的な構造(各単語の役割)は明確に異なります。最大の違いは、「後に続く文のどの要素が欠けているか」という点にあります。

まずは、それぞれの節を平叙文に戻して、役割を比較してみましょう。
what others think of them←Others think something of them.(think の直接目的語 代名詞)
how others see them←Others see them in a certain way.(文全体の態様・方法 副詞)

what others think of themにおいて、think は他動詞として機能しています。
構造: think + [目的語] + of [対象]

この what は think の後ろに欠落している「内容(something)」を補う代名詞です。「彼らについて、他人が何を(どんな評価を)抱いているか」という「中身」を指します。目的語(名詞)が抜けているので、関係代名詞(または疑問代名詞)の what が使われます。

how others see them においては、see は them を目的語に取る完全な他動詞として機能しています。
構造: see + [目的語] + (副詞/方法)

see them(彼らを見る)という部分は既に完成しています。そこに「どのように」という方法や見え方(manner)を付け加えているのが how です。「他人がどんな風に彼らを見ているか」という「状態」を指します。文の主要素(主語・動詞・目的語)は揃っており、修飾要素が抜けている状態なので、関係副詞(または疑問副詞)の how が使われます。

日本語では「どう思う(What)」も「どう見える(How)」も同じ「どう」を使ってしまうため、英語にする際に混同が起きやすくなります。

・think: 脳内に「何(What)」があるかを問うので What を使う。
・see / look: 見え方の「様態(How)」を問うので How を使う。

もし see を使って what の構造にするなら、”what others see in them” (他人が彼らの中に何を見出すか)のように、前置詞との組み合わせで目的語を欠落させる必要があります。

投稿者 shobota

都立高校で40年以上英語を教えている教員です。哲学や倫理に関心があります。

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